メダカを睡蓮鉢やプラ舟で飼育していると、餌の食べ残しやフンが水底に蓄積してきます。
これらが有害なアンモニアなどになり、水質を悪化させる。餌の食べ残しは、水質悪化の最大の原因です。また飼育水が富栄養化することで、アオミドロなどの藻類を増やす要因となります。
そこで水底に沈殿している食べ残しやフンを処理してくれる貝類やエビ類が重要な意味をもってくる。鑑賞面でも楽しみを提供してくれますから、是非とも導入してみましょう。
こちらでは掃除屋さんの代表格、ヒメタニシ飼育のメリットについて紹介していきます。
タニシって?
タニシは日本(本州~九州)に古来から生息している巻き貝で、好きな環境(田んぼ、小川、水路などの流れの緩やかな浅瀬)がメダカとよく似ています。
水質は弱酸性から弱アルカリ性まで広く対応し、わりと飼いやすい。
性質は大人しく、メダカとの相性は抜群の生きものです。
日本には、ヒメタニシ、マルタニシ、オオタニシなど4種類が生息しているそうです。一般的に流通しているのはヒメタニシです。
タニシは水をきれいにしてくれる
ヒメタニシは雑食性の巻き貝です。
食事の仕方が3種類あるのが特徴になります。
ひとつ。デトリタスといわれる、生物や微生物の死骸、生物の排泄物など有機物を食べる。つまり、水底に溜まったもわっとした物を食べてくれる。
ひとつ。コケや藻類を食べる。コケ取り能力はそれほどではないですが、壁面などについた藻類をがりがりと削り取り食べてくれる。
ひとつ。濾過摂食という、エラで植物プランクトンなどを濾し取る食事方法ができる。身体全体がフィルターのようになっていて、水を濾過してくれます。
グリーンウォーターがわずかの時間で透明になる動画もあり、この濾過摂食の優秀さが分かります。
デトリタス食はわが家の睡蓮鉢でも確認されています。
上は2019年4月末、まだヒメタニシを入れていない睡蓮鉢の水底ですが、赤玉土をもやっとしたものが覆っているのがお分かりでしょうか。
降り積もったメダカのフンなどだと思います。
そして↑が2019年6月上旬の同じ睡蓮鉢。ずいぶんとスッキリしました。
ヒメタニシも生きものなのでフンもするのですが、その排出するフンから、水質を悪化させる栄養塩が出にくいのも特徴だそうです。
丈夫で適度に増える
タニシの優れた点は、まだあります。
それは自然繁殖してくれるんだけれど、増えすぎて困りはしないこと。適度に増えてくれるんです。
アクアリウム界隈の嫌われ者 スネール(サカマキガイなど)は、ひとつの個体が雄♂と雌♀の両方の役割を果たせる“雌雄同体”ゆえに爆発的に増えていきます(2匹いれば、それぞれが雌♀となって卵を産める)。
これに対してタニシは雌雄異体で、繁殖するためには雄♂と雌♀が必要になります。ゆえに増え方も控えめ。飼育容器がタニシだらけになるようなことは起こりにくいです。
また、“卵胎生”で体内に卵を抱え、稚貝が育ってから産むのもタニシの特徴。
スネールのように睡蓮鉢や水槽の至る所に卵を産みつけるて「なんか気持ち悪いな」と思うこともなく、卵のように大量に産めないので、こちらもタニシが増えすぎない理由になっています。
親タニシと、子タニシ。
繁殖時期は、6月~9月です。
かわいい
好みですが、丸っこいタニシの螺旋フォルムはかわいいです。
夜行性
習性としては夜行性ってことで、昼間はあまり見かけません。でも流木をめくってみると、裏側にはこんなふうにたくさんの子タニシが。暗いところが落ち着くんですね。
これはタニシではない
タニシとよく間違えられているのがスネール(snail)です。
水草などに混じって、いつの間にやら水槽や睡蓮鉢に入ってくる小さな貝。スネールという貝がいるわけでなく、好まれざる小さな巻き貝たちの総称です。
彼らは時々タニシと混同されますが、別の巻き貝。
卵を産み付ける時点でタニシではないですし、タニシがいつの間にやら大量発生することもないでしょう。
大きさも全然違います。
右側の大きな巻き貝が、ヒメタニシ。左側の茶色くて細長いのがスネール(モノアラガイ)です。
また、ジャンボタニシと呼ばれる貝も、タニシとは異なります。
水田の稲や用水路の壁になんともいえないショッキングピンクの卵を産み付ける彼らはスクミリンゴガイといい、稲の食害と繁殖力の強さで問題となっている外来種です。
田んぼで見つけたからといって持ち帰ると、水草を食べ尽くされるなど、エラい目に遭うこと請け合い。水中では孵化できないので、発見次第水中に落とすことが勧められています。
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