【メダカビオトープ】メダカ飼育の最難関:生れたての針子を育てるのは注意が必要

ビオトープ

メダカの繁殖をする場合、卵を採るところまではそう苦労せずに行うことができます。初めてでも余裕です。

僕が失敗したと思ったのは、針子と呼ばれる生まれたての子たちをあまり稚魚に育てられなかったことです。メダカは丈夫で飼いやすい魚とはいえ、針子はまだ弱いのでたくさん死なせてしまった…

メダカ飼育における最大の関門が、針子から稚魚への育成です。針子の生存率を上げるには、注意が必要になります。

稚魚を育てる容器

メスが卵を産み始めたら、稚魚用の容器を準備します。同じ容器のままだと、親メダカが卵や稚魚を食べてしまうからです。

別に用意する容器は、なんでもいいです。
プラスティックケース、発泡スチロール、バケツ、米びつ、トロ舟、睡蓮鉢 etc.
おすすめは表面積が広いもの。その方が水中に酸素が多く溶け込みます。
できれば深さもあって、水量があるほうが安定します。

下の写真の発泡スチロールのような浅い容器では、水がすぐに汚れて飼育難易度が上昇します。

  • 水質の変化に敏感な稚魚はあまり水換えをしたくない
  • 水量が多い方が、水は汚れにくい
  • 密集することによるストレスの軽減
  • 水温などの変動を少なくしたい

などの理由から、容積の大きな容器を準備しましょう。
10リットルくらいあるといいです。

逆に、限った数の卵だけを孵化させて育てたい、という場合であれば、小さな容器でも構いません。100均のプラスティックケースとかでいけます。

稚魚の数が増えてきて、体格差が出てきた場合も、対処が必要となります。

適度な日当たりのある場所

卵の孵化には光が大切なので、太陽光が当たる場所が良いでしょう。稚魚の成長スピードも、日光があるほうが早くなります。
ただし夏の直射日光は水温が上がりすぎるので避けたいところ。水温が30℃以上になると、卵は孵らないそうです。

卵から孵化するまでの時間は、水温と関係があります。一般的によく言われているのが、25℃だと10日で孵化するというもの。

そう気にせずとも、卵は待っていれば自然に孵っていきます。孵化まではそう難しくありません

「針子」の餌問題

難しくなるのは、生まれて間もないメダカを死なせずに、1cm強まで育てていくこと。赤ちゃんはまだ体力がないので、ちょっとした環境の変化にも弱いうえ、食べられるものも限られているからです。
稚魚の主な死因は餓死になります。

わんさか生まれて喜んでいたら、いつの間にやら赤ちゃんメダカの数が激減している。これは餌不足が原因であることが多いです。

生後3日目以降からが勝負

生まれたてのメダカの稚魚は「針子」と呼ばれます。
体長1mmにも満たず、本当に小さくてかわいい。

生まれたばかりの針子は、おなかに栄養の詰まった袋がついていて、まずはこの栄養を頼りに最初の2-3日を生きていきます。
この間の針子は餌を食べません
水温の変化などに注意しながら、見守る時です。

問題は生後3日目以降、この栄養袋を使い切ってから。

生きていくためには餌を食べなければなりませんが、なにせ針子は小さいので、口も小さい。ここで針子が食べられるものを与えられるかどうかが、まさに飼育の生命線です。
そしてその頻度も重要になってきます。

ベビー用飼料

まず、針子たちの食べ物を何にするかです。

人工飼料を与える場合、成魚用は針子の口には大きすぎるので、そのままでは食べられません
食べようと突っつきはいますが、口に入らない餌にメダカは固執しない。さっと別のを探しに行き、残った餌は沈んで有害化します。

針子が食べられるようにするには細かくすり潰す必要がある。すり鉢、もしくは指を使って粉末にしましょう

稚魚用として売られている餌も、針子にはまだ大きいかな、と思います。
下の写真では、右の赤っぽいのがベビー用として売られている餌、左の茶色いのが成魚用を指で軽くすり潰したものです。
指で潰した方が、より細かい粉末になってます。針子の時期は、ベビー用でもさらに潰すのがいいです。

少量ずつ何度も

メダカには胃がなく、かつ針子は非常に小さいので、餌は少しずつ頻繁に与える必要があります。
朝・昼・夕の1日3回、可能であれば1日5回ほどとよく言われています。実行するには、なかなか厳しい条件です。

一方で、餌を与えすぎてしまうと、底に沈んで水質を悪化させ、稚魚の死亡要因になるので要注意。沈まないタイプの餌を少しずつ、が基本です。
この加減がなかなか難しいです。

グリーンウォーターで育てる

メダカを飼育するのに向いている水、それが「グリーンウォーター」です。

なんのことはない、植物プランクトンが大量に発生したことで緑になっている水のことですが、植物プランクトンを食べるメダカの稚魚(特に針子)にとってはとてもよい環境になります。
理由はこうです。

  • 食べ物だらけの水の中で暮らしているから、いつでも好きなときに食事ができる(1日に何度も餌を与える必要がない)
  • 人工飼料を食べられないサイズの針子でも大丈夫
  • 水質が悪化しにくい

ほかにも、カラーメダカなどは発色が良くなる効果もあるそうです。

水質が悪化しにくいのは、人工飼料のように食べ残しが出ない点と、メダカの排泄物などを植物プランクトンが栄養として吸収するから。
稚魚の飼育において、なかなか万能の水として活躍します。

透明ではないのでボウフラやヤゴが侵入しても発見しにくい、濃くなりすぎると夜に酸欠の恐れがあるなどのデメリットもありますが、このグリーンウォーターで飼育することで、針子たちが餓死する危険は減るでしょう。

どうも稚魚が育たないな、という場合はグリーンウォーターを取り入れてみると成功するかもしれません。

水質悪化に注意

黄色くなり汚れた、元グリーンウォーター

餓死とともに、水質悪化も稚魚の大きな死亡要因です。

僕は何度も失敗をしたのですが、浅めの容器(=水量が少ない)にグリーンウォーターを作って針子を育てていた時、よく水を汚して死なせてしまいました。

最初は良いのですが、排泄物によって徐々に水質が悪化し、グリーンウォーターが緑ではなくなってくる。とろみのようなものも出てきます。

底土を敷かず、植物もない容器ですからバクテリアなどの濾過サイクルはなく、植物プランクトンたちが不在だと水はすぐに汚れるんですね。
すると何10匹といた針子たちが一気に激減。彼らには本当に申し訳ないことをしました。

か弱い針子たちですから、水換えはあまりしたくないですし、それなら最初から水量が多めの容器が良い。10Lは欲しいところです。
浅めの容器を止めてからはグリーンウォーターが安定し、針子たちが育つようになってきました。

まとめ

メダカの卵を採取して、それを孵化させるのは簡単です。

難しいのは生まれたての稚魚たちを、1cm強の大きさまで育てること。赤ちゃんメダカは餓死しやすく、食べやすい餌を頻繁に与え続けるのが困難だからです。

そこでおすすめは、食べ物である植物性プランクトンが多量に繁殖したグリーンウォーター。
水質悪化も死因になるので、水量が多めの容器(10L~)を用意すると生存率を上げられるでしょう。

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